第2回神戸アイセンター病院眼科臨床懇話会
2018.12.20 19:00~
特別講演「世界で進む遺伝子治療~その導入前夜」
前田 亜希子先生
(理化学研究所多細胞システム形成研究センター網膜再生医療)
網膜色素変性には300種類の遺伝形式があり各段階の進行具合により、神経保護、幹細胞治療、オプトジェネティクス治療がある。遺伝子診断では、ロドプシン変異(強い光に弱い)、一部の変異(ビタミン効かない)等がわかっています。網膜色素変性の発症させた実験犬maryは最初歩行困難であったがオプトジェネティクス治療により正常行動ができるまで回復した(ビデオ供覧)。NGSターゲットシーケンスにより39遺伝子に選択するため、かずさDNA研究所に依頼し53%診断可能になっている。19.2%はEYS(常染色体劣性遺伝),USH2A(常染色体劣性遺伝),RHO(XL家族歴なし)。遺伝子カウンセリング94%満足。39→50遺伝子(先進医療で申請中)。米国では50万円かかるが、日本ではだれでも手に届く値段にしたいそうです。
31年度はiPs細胞視細胞移植治療を1~2例/年する予定。
受賞テーマ:「網膜色素変性に対するリードスルー薬の開発」
JRPS研究助成を受けられますことに大変感謝しております。これまですすめてきた網膜変性を理解し、新しい薬をつくるという研究を発展させていきたいと思います。網膜がどのように光を受け取り伝えるのかということを研究してきました。なぜ網膜が機能できなくなってしまうのかということを考えてきました。遺伝子の変化が網膜変性を引き起こすことが知られています。遺伝子は体の設計図です。遺伝子の変化が起こることによって、眼に必要なタンパク質をつくることができなくなったり、機能しないタンパク質ができてしまうことによって病気が起こってしまうのです。自然界ではある頻度で遺伝子に変化が起こってしまいます。そのような遺伝子変化の中でタンパク質の合成を中断させてしまう変化があります。このようなタンパク質ができなくなる遺伝子変化の箇所を読み飛ばすことによりタンパク質合成を回復し、体を守る仕組みが知られています。これをリードスルーといいます。今の研究ではこの仕組みを利用し、網膜変性につながる遺伝子変化があるにも関わらず、その箇所を読み飛ばして正常なタンパク質をつくりだすことにより、網膜症の進行を防ぐことができる薬を探します。網膜症以外の病気に有効な治療薬の中から網膜症に有効な新たな薬効を見つけだすので、有効薬を見つけることができれば、いち早く網膜症治療に用いることが可能です。将来どんな眼科医になりたいのかを考えていた頃、網膜色素変性症患者会のお手伝いをしました。そこで患者さんとそのご家族がさまざまな不安の中で、治療の可能性を探しながら、生活の工夫をされながら日々すごされていることを学びました。治療・医療をつくりたい、網膜症とともに生きる方々の証人になりたいと思いました。この研究が一日でも早く皆さまのお役に立てるように、私にできる最大限の努力をしたいと思います。
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尚、安木眼科の受付事務募集は終了しました。